私は短期間で行政書士試験に合格しました。しかし、大学も理系で法律には全くの無縁です。独学で短期で合格するためには、ひたすらに頑張るのは避け綿密な戦略を考えました。戦略と言っても「どのような参考書、テキストを選ぶか」、それだけです。
まず、三段階に分けました。
入門期(イメージをつかむ)
法律には全くの無縁です、初心者です。イメージ作りが大切です。イメージ作りに役立つ参考書を見つけるようにしました。最初に目が留まったのは、伊藤塾塾長の伊藤真先生の本です。大変分かりやすいのですが、薄い割には値段が高い。当時の値段で1,700円位だったと記憶しています(今考えれば法律系の書籍は販売数が少ないため、価格が高いのが一般的ですが、それすら分かりませんでした)。
そして書店で偶然出会ったのが「三修社 ぶんこ六法トラの巻」です。これは各単元2ページから4ページの見開き構成されていて、最初に「イメージしてみよう」と生活に密接した例があります。これが凄く分かりやすい。一冊、950円前後(税別)だったと思います。憲法、民法、行政法、会社法を購入しました。
この「ぶんこ六法トラの巻」使っている人は、あまりいないと思います。文庫本サイズなので、書店の資格コーナーでは見付けにくいのはないでしょうか。しかし、これほどコストパフォーマンスに優れて、イメージが豊富な入門書はないと思います。
【追記】この文庫本は行政法以外は高橋裕次朗先生、行政法は早稲田セミナー(現、Wセミナー)やLEC東京リーガルマインド司法試験予備試験講座などで講義を担当していた千葉博先生が監修した入門書「ゼロから始めるシリーズ」を文庫化したものです。
過去問を解く
資格試験で一番のポイントが「過去問」です。試験によって、その出題傾向や特有の問題の出し方があります。敵を良く知ることが短期合格には絶対必要です。そして購入したのがTAC行政書士講座の過去問集です。収録年数が多い点と、解説が比較的充実していたからです。最近ではLEC行政書士講座の「出る順行政書士シリーズ」なんかも収録年度数が10年分と多く、また機能性に優れていて素晴らしいと思います。
そして問題を解くのですが、前述の入門書しか読んでいないため、分からないことが出てきます。問題によっては過去問の解説だけで分からないことができます。そこで辞書的に使用する目的で、テキストの購入に入りました。
(画像はイメージです。)
再び大型書店に行きました。検討した結果、伊藤塾の「うかる!行政書士」に決めました。説明は他の出版社と同様に詳しく、それ自体は決め手とはなりませんでしたが、民事訴訟法の簡単な説明もあり(現在は分からない)、お得な感じがしたからです(もっとも行政事件訴訟法は民事訴訟法をベースにしており、民訴の基本的な理解は必要なのですが)。
問題演習の時期
短期合格のために重要なのはアウトプットです。いかに多くの問題を解き、繰り返すかです。各社の行政書士対策の問題集は明らかに問題数が足りません。そこで購入したのが、実務教育出版の「新スーパー過去問ゼミ」です。
収録されている問題数が多く、そして、解説が図表付き(特に民法)でとても分かりやすい点が決め手となりました。極端な話、このシリーズを繰り返すだけで行政書士試験の標準的な問題は正解できるのではないかという感想です。
公務員対策の問題集ですが、地方上級レベル・国家二種(現在は国家一般職)レベルなので行政書士試験と同じくらいのちょうど良いレベルです。このシリーズの「憲法、民法1・2、行政法」の合計4冊を繰り返して合格できました。
【追記】現在では行政書士試験対策においてもメジャーとなったスー過去こと「スーパー過去問ゼミ」ですが、本書を選んだのは行政書士試験レベルの問題が少なかったからです。現在ではLEC東京リーガルマインド行政書士講座から「アルティメット択一問題集」が刊行されています。
これは公務員試験・司法試験から行政書士試験対策に役立つ問題を厳選したものです。スー過去は公務員試験専用のため、行政書士試験対策には不要な問題もあります。したがって今時点でのおすすめ書籍はLECの「アルティメット択一問題集」です。
【余談】なおスー過去にはお世話になったので、合格した日に実務教育出版にお礼のメールをしました。翌日、お祝いのメールを実務教育出版さまから頂きました。少しですが公開します。
>××様
>合格おめでとうございます。
>また、お礼のメールをありがとうございました。
>編集部一同たいへんうれしく思います。
>今後のご活躍をお祈り申し上げます。
>実務教育出版 編集部
…このメールを頂いた時にはうれしかったですね。
少し脱線しましたが、以上が私の使った参考書、問題集です。他にも時事問題集など使用した書籍もありますが、メインとして使いこんだのは上の書籍です。
行政書士試験は適切な講義や書籍で学習を進めれば、簡単ではありませんが、決して合格が難しい試験ではありません。ぜひ本記事を参考にして頂き、ご自分に合ったテキストや問題集を繰り返し学習して欲しいと思います。
TAC出版の書籍(テキストや過去問題集)も充実している!
受験生時代は分からなかったのですが、TAC出版の行政書士試験向けの書籍が充実しています。ここで何点か紹介します。
みんなが欲しかった! 行政書士の教科書
このテキストは法律を初めて学習する受験生の方におすすめです。資格試験のテキストは単色または2色刷りが一般的ですが、4色カラーという豪華さで、図表も分かりやすくなっています。
その一方で「旧、一発合格シリーズ合格テキスト」であったため、一定のレベルを保っています。基礎力の養成に最適でしょう。また問題集や判例集も発売されています。
みんなが欲しかった! 行政書士の判例集
行政書士試験の憲法や行政法では、重要判例の知識は必須です。もっとも判例百選などは分量が多すぎて、消化不良となるケースも。そこで行政書士試験に特化したのが、「みんなが欲しかった! 行政書士の判例集」です。
みんなが欲しかった! 行政書士の40字記述式問題集
行政書士試験で大きな配点を占める40字記述式。300点満点のうちの60点を占めるので、成績次第で合否に大きく関係しします。
この記述式ですが、マークシート問題のように基本的な知識があれば解ける訳ではありません。事案を分析し、出題者の意図を把握、そして重要キーワードなどを基に40字前後でまとめる、などトレーニングが必要です。
なお記述式に対しては、この「みんなが欲しかった! 行政書士の40字記述式問題集」のほか、アガルート行政書士講座の林裕太先生による問題集もおすすめです。
関連記事 林裕太先生の記述式問題集、高得点を採るためのノウハウを公開
行政書士 ハイレベル過去問+予想問
行政書士試験は入門資格でありながら、レベルは高いのが特徴です。法科大学院生でも不合格になる厳しい試験です。
このようなレベルにある行政書士試験にあっては、基礎を固め、過去問のマスターをしたら、レベルの高い問題に緒戦することもおすすめです。そんな受験生の方におすすめです。
なお同じような問題集として、LEC行政書士講座の「アルティメット問題集」があります。こちらは司法試験や公務員試験、公認会計士試験などから、行政書士試験のレベルに合った問題を厳選しています。TACのハイレベル問題集と比較して購入されると良いでしょう。
参考記事 アルティメット択一問題集、司法試験や司法書士試験などから行政書士試験向けの問題を厳選!
行政書士独学道場
行政書士試験に合格するためには通学講座を利用するのが一番です。ライブ講義ならではの緊張感、合格ノウハウ満載のプロ講師による指導、そして直接質問ができる、など多くのメリットがあります。
その一方で行政書士通学講座は、どのスクールでも10~20万円前後の費用がかかります。そこで費用をかなり抑え、さらに通学講座に限りなく近い内容なのが「行政書士独学道場」です。
この行政書士独学道場ですが、以下のような教材がセットになっています。
- テキスト・問題集など
- Web講義(動画講義)
- TAC全国模試、直前答練
- 質問カード
- 本試験予想問題
つまり単なる通信講座ではなく、通学講座も組み合わせたハイブリッド講座となっています。それでいて費用は手軽に抑えているので、おすすめです。
【動画解説】TAC出版の行政書士テキスト問題集ラインナップ