ニュースで学ぶ行政法・地方自治法【イメージで理解】

行政書士試験や公務員試験、そして司法試験や予備試験で出題される行政法。憲法と並び公法系科目のひとつである行政法ですが、普段の生活にかかわりのある民法などと異なり、イメージが湧きにくい特徴があります。

そこでニュース記事の中から、行政法及び地方地自法に関するニュースをピックアップしてみました。記事によっては学習に理解に役立つ内容もあるでしょう。ぜひ活用して頂きたいと思います。

なお今回の記事は、行政書士講師ブログのバックナンバーを再編集したものであり、一部古い記事もあります。

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警職法3条、泥酔者の保護と即時強制

[2013年03月23日]
桜満開の時期になりました。全国でもお花見の機会が増え、それに伴い泥酔者も多くなります。酷いケースだと、道路の真ん中で眠り込んでいるケースもあります。これはいけませんね。酒は飲んでも飲まれてはいけません。

さて道路で眠り込んでいるケースですが、とても危険です。なので警察が通りかかれば保護されることになります。具体的にはパトカーに乗せ警察署に搬送、保護室で保護という流れになります。

そもそも警察の仕事は個人の生命、身体及び財産の保護であり(警察法2条)、今回のような泥酔者の保護は差し迫った危険な状態から保護をするという応急の措置です(警察官職務執行法3条1項、以下警職法と記す)。

警職法3条、即時強制

行政法を学習中の方は分かると思いますが、これは即時強制の例ですね。「あらかじめ義務を命じる余裕のない緊急の場合に、直接国民の身体や財産に実力を加え行政上必要な状態を実現する」というものです。

出る順行政書士 合格基本書を持っている受験生の方は、この泥酔者の保護のほか、感染症患者の強制入院、延焼のおそれがある対象物の破壊が掲載されているので確認しておいてください。

参考条文、警職法

【第三条】  警察官は、異常な挙動その他周囲の事情から合理的に判断して次の各号のいずれかに該当することが明らかであり、かつ、応急の救護を要すると信ずるに足りる相当な理由のある者を発見したときは、取りあえず警察署、病院、救護施設等の適当な場所において、これを保護しなければならない。
一  精神錯乱又は泥酔のため、自己又は他人の生命、身体又は財産に危害を及ぼすおそれのある者
二  迷い子、病人、負傷者等で適当な保護者を伴わず、応急の救護を要すると認められる者(本人がこれを拒んだ場合を除く。)

指定管理者、図書館を企業が運営

[2013年04月03日]
2013年4月から佐賀県武雄市立図書館はTSUTAYAでお馴染みのCCC(カルチュア・コンビニエンス・クラブ)に運営が委託されています。同市では初めてとなるスターバックスコーヒーの併設や文具の販売など、図書の貸し出しに留まらずにサービスが拡充しているのが特長です。

ひとつ疑問が浮かびます。市立図書館なのに一般企業が運営?これは指定管理者制度(地方自治法第244条の二)によるもので、2003年の地方自治法改正で実現したものです。小泉内閣の「官から民」への一環です。官から民へは郵政民営化だけではなく、このような身近なケースでも見受けられます。

図書館などの公の施設の管理の委託先は公共団体・一定の出資法人の限られていたのですが、これが民間まで門戸が開かれたわけです。指定管理者制度のメリットとしては、

  1. 住民サービスの向上
  2. 専門的人材の確保
  3. 資金調達など財務的側面

が挙げられますが、税金によって建設された公共施設を営利団体である民間企業が請け負うことに疑問の声もあります。

本を読む女子学生

地方公共団体の議会の自主解散

[2013年06月08日]
福岡県中間市議会が自主解散しました。これは生活保護費不正受給事件に絡み、不正を見抜けなかったからです。議会の自主解散に関しては地方公共団体の議会の解散に関する特例法2条に規定されており、「議員数の四分の三以上の者が出席し、その五分の四以上の者の同意」が必要です。

また解散と言うと衆議院の解散が思い浮かびますが、衆議院には自主解散の制度はありません。
なお今回の不正受給事件では、元読売巨人軍の選手で中間市職員が逮捕されています。

参考条文、地方公共団体の議会の解散に関する特例法

(議会の解散)
【第二条】 地方公共団体の議会は、当該議会の解散の議決をすることができる。
2  前項の規定による解散の議決については、議員数の四分の三以上の者が出席し、その五分の四以上の者の同意がなければならない。
3  第一項の議決があつたときは、当該地方公共団体の議会は、その時において解散するものとする。

以下、ヤフーニュースより引用。

生活保護費不正「見逃す」…自主解散した市議会

読売新聞 6月7日(金)16時2分配信
 福岡県中間市の生活保護費不正受給事件を受け、同市議会(定数19)は7日、「チェック機能を果たせなかった」として議員提出の自主解散動議を賛成多数で可決し、解散した。出直し市議選は今月23日告示、30日投開票の同市長選に合わせて実施する方向で調整が進む見通しだ。

 この日は、佐々木晴一議員(中間クラブ)が「市長と同格の市議会も(事件の)チェック機能は果たせなかった。みそぎを受けるべきだ」として緊急動議を提出。公明党の議員3人が退出後、記名投票が行われ、13対3の賛成多数で可決、即日解散した。地方議会の解散を定めた特例法によると、自主解散には4分の3以上の議員が出席したうえ、5分の4以上の賛成が必要。解散がなければ、同市議会の任期満了は2015年4月29日だった。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130607-00000828-yom-pol
(リンク先の記事は削除されています。)

泉佐野市で犬税を導入へ

[2013年11月21日]
平成25年度行政書士試験で出題された「犬税」ですが、大阪府泉佐野市で導入される見込みとなりました。泉佐野市では以前も犬税導入の話はありましたが、2014年度中の導入を目指し、今後具体案を作成する方針のようです。

またこの犬税は、地方税法で定められている税目(固定資産税など)以外に地方自治体が独自に課す税金(法定外税)であるため、条例可決後に総務大臣の同意が必要となります。以下、産経新聞より引用。

ふん害に憤慨?来年度「犬税」導入へ 大阪・泉佐野市、1匹年千~2千円

2013.11.22 07:30 [消費税]
 路上に放置される飼い犬のふん対策費用として、大阪府泉佐野市が、飼い主から一律に徴収する法定外税「犬税」の導入に踏み切る方針を固めたことが21日、分かった。市議会の12月定例会に有識者検討委員会の設置費用を計上した補正予算案を提出する。年明けにも検討委を発足させ、条例制定などを経て平成26年度中の実施を目指す。

 総務省によると、犬の飼い主への課税は昭和30年には2686自治体が実施していたが徐々に減少し、57年3月に長野県四賀村(現松本市)が取りやめたのを最後になくなっている。
(中略)
法定外税は自治体が独自に条例を定め、総務大臣が同意すれば導入できる。

http://sankei.jp.msn.com/west/west_affairs/news/131122/waf13112207310003-n1.htm
(リンク先の記事は削除されています。)

法定外税とは?

地方自治体が地方税法で定められている税目(固定資産税など)以外に独自に課す税金のことを法定外税といいます。

法定外税には具体的な使い道が決まっていない「法定外普通税」と、使い道が決まっている「法定外目的税」の2つがあります。行政書士試験対策で押さえておきたい点は、次の2点になります。

  1. 法定外普通税は以前からあったものの地方公共団体の自主課税権を拡大すべく、従来の総務大臣の許可制から同意(事前協議制)に緩和された点
  2. 新たに法定外目的税が創設された(同じく総務大臣の同意が必要)

犬税に話を戻すと、以前にも犬税を課す自治体はあったものの(1955年度で2686の自治体、2012/8/6の朝日新聞の報道による)、徴収コストの点から現在は全て廃止されています。そして今回の泉佐野市は財政的にも苦しく、犬税は税収アップの一環という印象が拭えません。さて実現されるのでしょうか。

議会基本条例

[2014年08月27日]
女性議員への野次問題や不自然な政務活動費の支出問題など、この夏の話題となった地方議会。一般社会とかなり感覚が異なるようです。

そんな議会の改革を目指したのが「議会基本条例」。北海道栗山町が全国に先駆けて制定しました(2006年5月)。その栗山町の議会基本条例では、

  1. 重要な議案に対する議員の態度(賛否)を公表
  2. 議員の質問に対する町長や町職員の反問権の付与
  3. 政務調査費に関する透明性の確保
  4. 政策形成過程に関する資料の提出を義務化

など、議会の活発化や透明性の確保を目的としています。

栗山町議会、議会基本条例
▲ 栗山町の議会基本条例ページ(画像は栗山町議会公式サイトから)

議会基本条例は「地方議会の憲法」とも呼ばれていますが、各地に広がる気配はあるものの、東京都議会を始め制定していない議会が数多くあります。なお議会基本条例は過去の行政書士試験で出題されています。

最年少の市長の誕生!被選挙権は何歳?

[2013年06月03日]
全国最年少の市長が選ばれました。これは6月2日(日)に投開票された岐阜県美濃加茂市長選です。

選ばれた新市長は28歳。北海道夕張市の鈴木直道市長(32)を抜き、現職の市長で全国最年少となりました。
とても若い印象を受けますが、市長や市議会議員の被選挙権は何歳から有するのでしょうか。これは地方自治法で規定されています(地方自治法18条、19条)。

規定によれば市長も市議会議員も満25歳以上となっています。なお市議会議員に立候補する場合はその地域に3か月以上住んでいないといけませんが、市町村長や都道府県知事など首長の場合は、その要件がありません。これは広い地域から有能な人材を募集するためです。

現職で全国最年少 28歳の市長誕生

6月3日 4時34分
前の市長の辞職に伴う岐阜県美濃加茂市の市長選挙は2日、投票が行われ、無所属の新人で、元美濃加茂市議会議員の藤井浩人氏が初めての当選を果たしました。

全国市長会によりますと、28歳の藤井氏は、現職の市長としては全国最年少となります。

(中略)
今回の市長選挙は、前の市長が病気の治療のため辞職したことに伴って行われ、新人の藤井氏が、自民党が推薦する新人で元美濃加茂市議会副議長の森氏を抑え、初めての当選を果たしました。

藤井氏は28歳。学習塾の講師を経て、平成22年の美濃加茂市議会議員選挙で初当選し、今回、市長選挙に初めて立候補しました。

美濃加茂市では、大手電機メーカーのソニーの工場がことし3月末に閉鎖し、これを受けて藤井氏は、企業誘致の推進や雇用対策のほか、子育て支援の充実などを訴え、初めての当選を果たしました。全国市長会によりますと、28歳の藤井氏は、現職の市長としては全国最年少となります。

NHKニュースから
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130603/k10015018211000.html
(リンク先の記事は削除されています。)

教育委員会と行政委員会

[2013年03月24日]
柔道の山口香氏(筑波大准教授)が東京都の教育委員に就任する予定です。山口香さんと言えば、元柔道世界女王で女三四郎と呼ばれ、最近では全柔連の暴力問題の告発に関与し有名になりました。

さて教育委員会は行政委員会でしたね。地方公共団体の執行機関として長がありますが、長への権限の集中を防ぎ、行政の中立的・民主的運営を確保すべく設けられたものでした(多元主義)。

行政委員会にはどのようなものがありましたか?都道府県に置かれるもの、市町村に置かれるもの、全ての地方公共団体に置かれるもの、この区別は万全ですか。ぜひ再受験生の方はテキストで確認しましょう。

関連問題
地方自治法は、普通地方公共団体にその執行機関として普通地方公共団体の長の外、条例の定めるところにより、委員会または委員を置くと規定している。(2011年行政書士、問題22)

【解答】
× 執行機関の設置は地方公共団体の根幹にかかわることなので、法律で定める必要がある。条例ではできない。地方自治法138条の4、第1項=執行機関法定主義。

柔道の山口香氏 瀬古氏の後任で都教育委員起用へ
 
 東京都は20日までに、柔道元世界女王で筑波大准教授の山口香氏(48)を都教育委員に起用する方針を固めた。
 今月末で辞任する瀬古利彦氏(56)の後任。開会中の都議会定例会に人事案を提案し、議会が同意すれば4月1日付で就任する。
 山口氏は84年世界選手権で日本女子初の優勝を果たし、88年ソウル五輪で銅メダルを獲得。全日本体重別選手権では10連覇し“女三四郎”と呼ばれた。女子柔道の暴力指導問題では告発した選手をサポートした。日本オリンピック委員会(JOC)の理事も務める。

http://www.sponichi.co.jp/sports/news/2013/03/21/kiji/K20130321005440680.html

県議のリコール成立

[2013年02月04日]
広島県議のリコールが2月3日の住民投票で成立しました。総務省によると県議のリコールは過去にないそうです。

受験経験者の方は、地方自治法の直接請求について要件等をテキストで確認しておきましょう。今回のケースは「議員の解職請求」です。

無免許運転の広島県議のリコール成立 3日付で解職

 【中野寛】道路交通法違反(無免許運転)で有罪が確定した××・広島県議(62)=広島市××区選出=の解職請求(リコール)の是非を問う住民投票が3日あり、開票の結果、賛成が有効投票数の半数を超え、リコールが成立した。正木氏は3日付で解職が決まった。総務省は「把握している限り、都道府県議のリコール成立例は過去にない」としている。

(中略)
××氏は元マツダ社員。2003年に免許取り消し処分を受けたが、11年4月に無所属で初当選した後の同6月、安佐北区の市道で乗用車を運転した容疑で現行犯逮捕され、同9月に広島地裁で懲役8カ月執行猶予3年の判決を受けた。県議会は辞職勧告を2回決議したが、××氏は拒否していた。

朝日新聞
http://www.asahi.com/politics/update/0203/OSK201302030057.html
(リンク先の記事は削除されています。なお個人名など一部伏せています。)

まとめ

ここまで行政法や地方自治法に関するニュース記事をまとめてきました。

行政書士試験に限らず、公務員試験や予備試験(司法試験)では、基本的な条文知識も然ることながら、判例知識が大切です。判例百選やそれの入門にあたる行政法マンガを利用して、ぜひ重要判例も押さえるようにしましょう。

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