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【司法試験】合格者数の削減は正しいのか?経緯とニュース記事まとめ

司法制度改革により法科大学院が設置されました。この法科大学院は専門職大学院のひとつであり、修了することで司法試験の受験資格が得られます。また、2002年の「司法制度改革推進計画」では、司法試験の合格者数を2010年頃を目途に3,000人程度まで増やすことになりました。

実際の合格者数は?

そんな(新)司法試験ですが、ここ最近の合格者数を見てみましょう(数字は合格者数)。

2016年度 1,583人
2015年度 1,850人
2014年度 1,810人
2013年度 2,049人
2012年度 2,102人
2011年度 2,063人
2010年度 2,074人

このように目標とされた3,000人という合格者数には及ばない結果になっています。また合格率ですが、20%台前半となっている年度が多くなっています。

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合格者数3,000人を撤回へ

そんな司法試験の合格者数ですが、当初は合格者数が増大傾向にありました。その結果、弁護士人口が多くなり競争が激しくなりました。収入の低下、中には廃業をするケースもあり、合格者数を減らすことに。

ここで旧サイト・司法試験講師ブログのバックナンバー記事を掲載します。

司法試験講師ブログ
司法試験の講師ブログの最新記事です。予備試験、法科大学院対策も。

[2013年7月16日]
内閣に置かれた協議体のひとつである法曹養成制度関係閣僚会議。この関係閣僚会議で2013年7月16日に決定がされました。司法試験に関する重要なものは以下のものです。

  1. 司法試験の合格者数について、年間3,000人程度とする数値目標は当面、立てない。
  2. 法科大学院の統廃合など、組織再編の促進。
  3. 司法試験短答式試験の免除を想定した「共通到達度確認試験(仮称)」の創設。
  4. 司法試験の受験回数制限の緩和(5年以内に5回)

この他にも「論文式試験の選択科目の廃止」「予備試験制度の在り方の検討」など、多くの検討課題が上がっています。詳しくは、法曹養成制度関係閣僚会議の決定(PDFファイル)を参照してください。

関連記事 法科大学院撤募集停止(撤退)ニュースまとめ、予備試験は人気に!

司法試験「合格3千人」を撤回 政府、法曹養成見直しへ
共同通信 2013年7月16日 11時06分(2013年7月16日 11時07分 更新)

 政府は16日、法曹養成制度の関係閣僚会議を開き、司法試験の合格者を年間3千人とする計画を撤回し、法科大学院に自主的な定員削減や統廃合を求めることを柱とした検討会議の提言を了承した。司法制度改革の看板だった3千人計画の閣議決定から11年余り。弁護士の就職難や法科大学院の人気低迷が深刻化し、見直しを余儀なくされた格好だ。

http://www.excite.co.jp/News/politics_g/20130716/Kyodo_BR_MN2013071601001337.html
(リンク先の記事は削除されています。)

辰巳法律研究所による解説動画

上の法曹養成制度関係閣僚会議では、司法試験の短答式試験を旧・司法試験と同様に憲法・民法・刑法の3科目に削減することを提言。そして平成27年度司法試験から短答式試験が3科目になりました。

関連記事 司法試験短答式3科目へ影響と対応、辰巳講師による動画解説とおすすめ問題集

この法曹養成制度関係閣僚会議での提言についておすすめの動画解説が、辰巳法律研究所・所長である後藤守男先生の「法曹養成制度検討会議をめぐり司法試験受験生が現段階で押さえておくべきことは何か?」です。

動画も約20分の内容なので、学習の間に参考にされると良いでしょう。

朝日新聞から

司法試験3000人枠撤廃へ 需要伸びず「非現実的」

 【西山貴章】弁護士ら法律家の数や法科大学院のあり方について見直しを議論している政府の「法曹養成制度検討会議」(座長・佐々木毅学習院大教授)が、司法試験の合格者数を「年間3千人程度」とした2002年の政府計画の撤廃を提言する見通しになった。4月に公表する中間素案に盛り込む方向だ。
 法曹3千人計画は01年に公表された司法制度改革審議会の意見書に基づき、10年ごろに達成する目標として閣議決定した。しかし、法科大学院修了者を対象とした新司法試験の合格者は年2千人前後で低迷。「社会の隅々に法律家を」という理念のもとで進められた司法制度改革の大きな柱が見直されることになる。
 法務省によると、昨年の合格者は2102人で、合格率は25・1%。当初の想定の7~8割を下回った。合格率の低迷で法科大学院への志願者も減少。昨春の志願者は1万8446人で、法科大学院ができた04年度の約4分の1まで落ち込んでいる。

http://www.asahi.com/national/update/0316/TKY201303160408.html
(リンク先の記事は削除されています。)

【合格者数】総務省から法務省、文部科学省への勧告も

また2012年には、総務省から法務省、文部科学省へ合格者数に関する勧告もされています。主な勧告の内容は以下の通り。

  1. 司法試験の年間合格者数に係る目標値の検討
  2. 法科大学院における教育の質の向上
  3. 法科大学院の入学定員の更なる削減、他校との統廃合の検討
  4. 未修者対策の強化
  5. 法科大学院に対する公的支援の見直し
  6. 修了者の進路の把握、就職支援の充実

(【参考】総務省|法曹人口の拡大及び法曹養成制度の改革に関する政策評価 <評価の結果及び勧告>

以下、ヤフーニュースより引用します。

合格者年3000人見直しを=法科大学院は統廃合も―総務省勧告
時事通信 4月20日(金)9時41分配信

 総務省は20日、法曹人口の拡大を柱とする司法制度改革に基づき、司法試験合格者数を年3000人程度とする目標が多すぎるとして、法務、文部科学両省に改善を勧告した。
合格者数は現在年約2000人だが、既に弁護士の就職難が起きていると指摘。合格者の目標値を法曹サービスの需要に即して見直すよう求めた。法科大学院に関しても定員削減や統廃合の検討を要請した。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120420-00000044-jij-pol
(リンク先の記事は削除されています。)

また2012年1月に実施された日弁連の会長選挙でも争点となる等、司法試験の合格者数に関する問題は喫緊の課題になっています。

そんな日弁連も閉鎖的!?

そんな日弁連ですが、「閉鎖的」と感じさせる記事があります。これは弁護士法人アヴァンセの金﨑浩之先生による記事。金﨑浩之先生と言えば、ヤンキーから弁護士になった異色の経歴で有名です。

[2013年8月2日:司法試験講師ブログ]
裁判員制度や法テラスの設立など着実に進んでいる司法制度改革。しかし弁護士の世界はまだ閉鎖的なようです。

これはネット上で話題になっている記事で、弁護士法人アヴァンセの金﨑浩之先生による記事。これによれば、「弁護士がある地域で弁護士業務を開始するためには、その地域の弁護士会に登録する必要があり(中略)、その登録の際には、当該地域の弁護士会に既に所属している会員弁護士の推薦が必要」とのこと。

つまりA県で弁護士活動を行うには、A弁護士会に登録する以前に推薦人を確保しておく必要があります。弁護士は自由業であるところ、実際の参入には、司法試験の合格とは別に「もうひとつの壁」があるようです。

(注)この弁護士登録の推薦制度は一部の弁護士会では「廃止」もしくは「推奨」。しかしなお推薦人を必要とする弁護士会は存在するようです。以下、金﨑浩之先生の記事を紹介します。

今、東京などの大都市を拠点とする弁護士法人の地方進出を阻もうという動きが、地方の弁護士会で起きているのです。
 この会食に参加していた弁護士法人は、ある地方に進出するためオフィスを構えたのですが、その地方の弁護士会が入会を認めないため、業務を開始できない状態に陥り、損害を被っているそうなんです。
 そこで、その弁護士法人は、その地方の弁護士会に対して損害賠償請求訴訟を提起しているんです。
 このような事態が起こる諸悪の根源は、弁護士登録にかかる推薦制度です。弁護士がある地域で弁護士業務を開始するためには、その地域の弁護士会に登録する必要があり、弁護士法人が地方に進出する場合も例外ではありません。
 その登録の際には、当該地域の弁護士会に既に所属している会員弁護士の推薦が必要となっているんです。
 例えば、ボクが経営している弁護士法人が、千葉に進出しようとしているとします。そのためには、うちの所属弁護士を千葉弁護士会に入会させて、千葉支部の常駐社員弁護士としなければなりません。
 しかし、うちの弁護士が千葉弁護士会に入会するには、既に千葉弁護士会の会員となっている弁護士の推薦が必要となっているのです。
 もし推薦人が得られなければ、千葉弁護士会に入会できない。入会できなければ千葉で弁護士活動を開始できない、という事態に陥ります。

弁護士登録の推薦制度 [金﨑代表ブログ]|いいねを押したい弁護士ブログ
弁護士 金﨑 浩之  昨日、東京を主な拠点とする法律事務所の若手(?)経営者が集まる会食があったので参加してきました。 若手に?マークが入っているのは、ボクを除けば30代の経営者ばかりだったからです。...

この話題は2013年のものであり、2016年現在は改善されたかも知れません。そして司法制度改革は規制緩和などの改革により、国民への十分な司法サービスを提供することを目的としています。

司法試験の合格者数と関連しますが、司法制度改革は「法曹界の人員の拡充」が当初の柱としていました。ネット上では、

  • どんどん増員して価格競争・サービス向上した方がいいよ。あと古い雑居ビルにあるような法律事務所なんか、これからどんどん潰れたらいい。
  • 法曹の質低下とか片腹痛いわ。底辺が拡大しない業界で質の向上とか笑わせるなよ
  • これはおかしいわ 弁護士会は異常な権力の集中が起こっている証拠。どんどん資格持っている人間増やさないと正常化しないよ
  • 能力のない老害が既得権益確保に必死

などの声があり、合格者数の減員案に対し否定的な意見が多いように思われます。もっと司法試験に挑戦し、合格後は実力次第で自由に活躍できる業界を望みます。またそれが国民のニーズに合致するのではないでしょうか。

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