1年に一度の行政書士試験。この日にために培った実力が試される日です。しかし少しのミスで不合格になりたくないもの。
そこで行政書士試験の試験会場での注意点をまとめます。また試験後は各スクールの解答速報を通して、「成績診断サービス」や「記述式無料採点」など利用するようにしましょう。
試験会場のベストな入室時間は?先手必勝で敵を制す?
実際の行政書士試験は模試とは異なり、大学の広い教室で実施されます。そこに受験生が一堂に集まります。この緊張感に圧倒されてしまう受験生の方が多いと思います。
そこで試験会場(教室)へはできる限り早い時間に入室しましょう。試験開始ぎりぎりに多くの受験生で満杯になっている教室に行くよりも、最初に入室して他の受験生を迎え討つ方が精神的にも楽ですし、試験に対する余裕が出てきます。
(画像はイメージです)
そこで入室時間について確認しておきましょう。試験開始が13時。その30分前が試験の説明が始まる集合時間です。この時点で教室は受験生で満杯です。そして教室へ入ることができるのは12時ちょうどです(実施年度により異なる場合がある)。
この時間に入室すると一番乗りで、精神的も楽です。この時間より前に入室しようとすると、建物の入り口で係員に止められて、他の受験生に注目されてしまいます(受験生時代の私です)。
したがって受験生の方は12時ちょうどに入室するようにしましょう。トイレも空いていて、余裕を持って万全の状態で試験に臨むことができます。
受験会場でもらうパンフレットはもらったほうがいい?
受験会場に行くと、入り口でパンフレットを配布していることがあります。これは大手予備校が作成したもので、直前チェックシートになっています。
しかしこのパンフレットを受け取ることはおすすめしません。これは他人が作った異質な学習教材を使用することによって、自分でせっかく作り上げた頭の中の整理図、解答のための系統図(思考回路)が傷がついてしまうからです。
Wセミナーの実力派講師山本浩司先生の言葉を借りれば、これは「熱湯に水を差すもの」です。この試験日に合わせて沸騰させたお湯が、他人が作った教材によってぬるま湯になってしまいます。
また、行政書士試験は緊張との闘いでもあります。大きな教室に合格を目指した受験生が一堂に集まります。これはとても大きなプレッシャーです。なので、少しでもエネルギーを無駄にしてはいけないのです。
しかし、そこで新しい学習教材を使ったらどうなるのでしょうか。脳が新しいものに対応しようとエネルギーを使ってしまいます。
したがって、試験会場で最後の確認をするならば、自分が今まで読み込んできたテキスト・参考書を使うのがベストです。パンフレットは使わないようにしましょう。
行政書士試験でカンニングは可能か?
過去に京都大学の入試で携帯電話を使ったカンニング(不正行為)が発覚しました。その手口は携帯電話で掲示板(ヤフー知恵袋)に問題の解答を尋ねるというもの。まじめに1年間勉強してきた他の受験生を愚弄する行為であり、決して許されません。
ここで疑問です。携帯電話で掲示板に投稿する際、数学の数式や長い英文を試験会場で実際に携帯電話に打ち込んだのでしょうか?手間もかかるし、試験官に発見される可能性が高いように思われます。
これに関して一部報道によると、写メール機能を使い外部に問題文の映像を送って、それを第3者が文字に直して投稿した可能性が一番高いようです。
さて、この受験生は軽い気持ちでカンニング行為をしたのかもしれませんが、どうやら刑事事件に発展しそうです。大学側が京都府警に被害届を出したのです。
(「逮捕しちゃうぞ」、画像はイメージです)
行政書士試験会場の試験監督員は何人?監視状態は?
気になるのは行政書士試験でこのような不正行為が可能なのか?という点です。行政書士試験合格のためにすべてを犠牲にして試験に臨む真面目な受験生が不利になることは絶対にあってはなりません。
実際の行政書士試験の様子を見てみましょう。200人程度を収容できる受験会場の教室の場合、試験監督が3人います。前に1人、最後部に2人の試験監督が不正行為をチェックしています(私が合格した年度の場合です、年度や会場の規模により変化することがあります)。
ここで受験生がカンニングをしようとします。この時に後ろの試験監督の様子と窺い、頭をきょろきょろさせれば一発で試験官の目につきます。したがって、行政書士試験においては不正行為はできないと思います。
行政書士試験の受験生の皆さんは安心して試験に臨んでください。基礎事項を頭に入れ、いままで学習してきたテキストや問題集でアウトプットを繰り返せば、合格が目指せる試験です。不正行為など必要ありません。合格目指して頑張りましょう。
最初から試験問題を解くべきか
行政書士試験は基礎法学から始まり、憲法、行政法、民法の順番で出題されます。受験生の多くはこの順番通りに問題を解き始めるでしょう。これは別にかまわないのですが、必ずしも難易度の低い問題から順序よく出題されているとは限りません。
たとえば憲法で見たことのない出題パターンがでることもありますし、例えば平成26年度の民法は「鬼と化した」という表現が当てはまるぐらい難化しました(もっとも合格ラインは下がっています)。
そして受験生の中には最初から問題を解いてしまい、そんな難しい問題でつまずき、解答ペースを見出し、その結果時間配分で失敗してしまい不合格になる方がいらっしゃいます。
見たことのない問題が出題されることも
今見てきたように、行政書士試験では少なからず過去問でも見たことがない難しい問題が出題されることを想定しておきましょう。
そして本試験でそのような問題に出会ったら、解答は保留しておき、残った時間で再びその問題に戻りじっくり解答をするのがベストです。またいくら考えても答えが分からない問題は、鉛筆を転がして解答する手もあります。これは乱暴なようですが、時間をかけて正解が分からない以上、このように処理をして、貴重な時間を他の問題に充てましょう。
そんな時こそ「バランス感覚」で正解率を上げる!
見たことのない問題、しかも解けそうにもない問題の対象法が「相手の立場も考えて、バランス感覚をもって考える」ということです。
例えば借地借家法。これは弱い立場である借り手を保護する規定がたくさんあります。しかしあまりにも借り手を保護し過ぎると、反対に貸し手がいなくなってしまいます。そこで修正されたのが定期借家権です(一定期間が来れば必ず返す必要があり、更新は認められない。貸し手は安心して貸すことができる)。
また民法の連帯保証にも同じことが言えます。連帯保証には催告の抗弁・検索の抗弁がありませんから、いきなり保証人に弁済を求めることができます。借り手としてはとても危険で、親からも「連帯保証人にだけはなるな」と言われた方も多いと思います。
しかし立場を変えて貸し手の立場から見れば、これほど安心してお金を貸せる制度はありません。そして安心してお金を貸せるからこそ、お金が円滑に社会を循環し、結果的に日本経済も発展する訳です。
したがって、一方の当事者の立場だけを考えるのではなく、相手の立場も考えてバランス感覚を持って学習することが、法律学習そして行政書士試験に短期合格するのに重要です。
特にここ数年の民法では、難易度が高い問題が出題されています。過去問演習だけでは対応できないケースがありますが、そんな時こそ「バランス感覚」の視点で問題を解いてみてください。適当にマークシートに解答するよりも、正解率が上がるはずです。ぜひ頑張ってください。
満点での合格を目指してはいけない
行政書士試験は300点満点中180点つまり6割得点出来れば必ず合格できる試験です。しかし受験生の中には満点取ろうと完璧主義者の方がいます。満点でも合格ラインぎりぎりの180点でも合格に違いはありません。
そして300点ではなく180点で良いという視点に立てば、重要ポイントだけを十分にマスターすれば行政書士試験に合格も可能という発想になります。ぜひ満点など取ろうとはせずに、「合格ラインギリギリで良い」、そのような考えで試験対策の勉強に臨んでください。
そもそも一生懸命勉強したとして満点は取れるのでしょうか。ここで面白いエピソードがあります。某大手スクールの司法試験講座の講師の方がいらっしゃいます。この講師の方は東京大学に一発合格され、また旧司法試験にも一発合格された「秀才」に近い方です。そんな方でも新試験制度になった行政書士試験は満点は取れていません。
そうであるならば、その満点を目指す時間を他の資格取得に充てたり、また合格後に行政書士として独立開業を目指す方ならば開業講座を一足早く受講してみるなど、他のスキルアップに役立てるべきです。
繰り返しになりますが、行政書士試験の合格においては満点を目指す必要など全くありません。これは行政書士試験とダブルライセンスを目指す宅建士試験や社会保険労務士試験においても同様です。